
お話いただいたのは
事務所名 | NA&HRコンサルティング社会保険労務士法人 |
所在地 | 新潟県燕市 |
所長 | 井上 智玄さま |
スタッフ | 飴谷 朱夏さま |
HRbase PRO導入時期 | 2024年5月 |
「労働災害を減らしたい」祖父の理念を引き継いで
ーまずは井上先生に、事務所紹介をお願いできますでしょうか。
井上
新潟県燕市で、NAコンサルティンググループを経営しています。私はその中の社会保険労務士法人の所長を務めており、主に職場の環境整備・環境改善のご支援を行っております。
職場の安全性や環境については今でこそ多く語られるようになりましたが、私たちのルーツは62年前、祖父の「この地域から労働災害を1件でも減らしたい」という思いから始まりました。
新潟県燕市は製造業の町です。そのため労働災害が非常に多かったのですが、すべての働く人の安全を守りたいと考えた祖父が事務所を立ち上げ、今でもその理念を引き継いでいます。

ー本日は、スタッフの飴谷さまにも同席いただいております。
飴谷
私は入社して3年目になります。職場環境改善コンサルチームに所属し、健康経営優良法人認定の申請のお手続きや、新潟県独自の「仕事と家庭の両立に関する認定(ハッピーパートナー認定)」の認定支援などを行っています。
それ以外にも就業規則やワークルールブックの作成など、幅広く担当しています。
ーホームページにもある通り、職場環境整備と職場環境改善にかなり注力されていらっしゃるのですね。
井上
はい、それが弊社のDNAです。人事制度ひとつをつくるにも、従業員の安全や健康を守る体制がなければうまくいきません。もちろん社労士事務所として手続き業務なども行いますが、職場の環境整備・改善のために私たちが提供すべき価値は他にもあると考えています。
ー顧問先に多い業種と、課題感を教えていただけますか?
井上
地域柄やはり製造業が多く、課題はマンパワー不足です。
採用支援も行っていますが、会社の理念そのものについてもご提案をすることが多くなってきました。理念やビジョンがなければ共感採用もできませんし、どのような人事制度にすべきかも決められませんから。
HRbase PROを再契約した経緯
ーここからはHRbase PROについてお聞きしておきます。 実は、一度ご解約をされていた時期がありましたね。そのときお持ちだった課題感と、再契約を決めていただいた経緯をお聞かせいただけますか?
飴谷
今でこそ労務管理を行うメンバーの組織化が進んでいるのですが、以前は業務の属人化が課題でした。 HRbase PROの一度目の導入は、それぞれの知識や情報を社内共有し、誰でも労務相談への回答ができるよう標準化できないかと検討した結果でした。
ー情報検索のためというよりは、知識を蓄積する「社内辞書」がほしいというニーズをお持ちだったのですね。
飴谷
はい。しかし、その当時はわからないことをシステムで検索するという習慣が社内にあまりなく・・・。
機能自体は使いやすく、サポートも手厚かったため個人的にはいいなと思っていたのですが、情報を登録するという本来の目的も達成できなかったため、一度ご解約させていただくことになりました。
ーその後、社内でどのような変化があったのでしょうか。
飴谷
会社の組織化が進み、労務部門のリーダーが明確に決まったことと、AIを業務に取り入れるための社内研修が実施されるなどの変化がありました。そのとき「HRbase PROを再導入したら今回は定着するのではないか」ということで、改めてご契約をさせてもらいました。

誰が調べても情報レベルが均一化
ータイミングが合い、よかったです。2回目の導入以降は、目的であった属人化の解消のお役に立っていますか?
飴谷
はい。現在は約10人の労務担当者が使っています。
それまでは個人ごとにgoogle検索で情報を探していましたが、ネットの情報から正解を選択することにも時間がかかりますよね。
そこからさらに、お客さまへ説明するための案内資料を自分で作成するという工数がかかっていたのですが、HRbase PROの再導入後は根拠の明確な情報がすぐに手に入りますし、図解のある資料も豊富なので助かっています。
ー10名も担当者がいらっしゃれば、業務の標準化や知識アップも大変ですね。
飴谷
その点では、労務管理ガイドが役に立っています。入退社などのイベントごとに、何をどういう順番で進めていけばいいのかが明確に書かれているため、誰にでもイメージがつきやすいです。
ー回答レベルの底上げは、HRbase PROで実現していただきたいことのひとつです。
飴谷
これまでは同じ質問が来ても個々に調べていたため、回答者によって内容がまちまちでした。しかし全員がHRbase PROで調べる癖がつくと、誰が調べても根拠や回答文章は似通ってくるため、レベルの均一化には近づいていると思いますね。
ー飴谷さんは各機能をどのように活用されていますか?
飴谷
まずは労務アシスタントAIで検索して、出てきた情報から「資料一覧」に飛び、さらに情報を探したりしています。
労務マガジンでは旬のニュース(法改正や時事ネタ)を届けてくださるので、スタッフによってはお客さま先に持参し、話題づくりに使うこともありますよ。
あと、解説動画もためになりますね!先日もちょうど重ための労務相談があったので、弁護士の先生の解説動画を参考にしました。
受電したスタッフで一次対応ができるように
ースタッフの方に積極活用いただけているようで安心いたしました。井上先生から見て、HRbase PROはどうお役に立っているでしょうか。
井上
ありがたいことに顧問先は増えております。
そうなると事務所のスタッフも増えますから、知識レベルの標準化は必須になりますが、「まずはHRbase PROで調べる」というフローが定着すれば、回答品質についてはある程度安心できるかなと考えています。

ーお客さまが増えたからこそ、レベルは落とせませんね。
井上
はい。実は今後、担当制をやめようと思っておりまして…。
そうなると受電したスタッフで一次回答ができるという体制をつくらなくてはいけませんから、ますますHRbase PROの活用が増えるでしょうね。
ーそれは大きな体制変更ですね!
井上
会社固有の事情があるときはその限りではありませんが、一般的な質問であれば受電担当が回答するのが一番早いですよね。それはお客さまのためでもあると考えています。
あと、担当制にはもうひとつ理由がありまして、10年後には全員が16連休を取得できる事務所にしたいと考えています。
ー16連休はすごいですね!しかし、なぜ「16」なのでしょうか。
井上
1週間のお休みだと、担当制でもギリギリ回ってしまうんですよ。しかし16連休だと、さすがにお客さまに「お返事は17日後になります」とはいいにくい(笑)だからこそ、この日数です。お客さまを待たせず、全員が長期休暇を取れるようになったら最高だと思いませんか?
採用もISO取得も、経営理念から始まる
ー顧問先の満足度とスタッフの働きやすさの両方に焦点を当てた経営、非常に参考になります。先生が地域の企業さまに職場環境の整備や職場環境改善の大切さを伝えるとき、どのようにお話しをされていますか?
井上
地方都市の製造業では、さまざまな属性のワーカーの方が働かれています。当然働く価値観も違うわけですが、そもそも、その方が新卒入社したときにはOJTしか受けずに現場に入るわけです。
仕事をするとは何か。労働契約とは何か。従業員に活躍してもらおうと思ったら、会社サイドがそれを丁寧に伝えてあげる必要がありますよね。
価値観がぶつかることもありますが、そのときの判断基準になるのが「経営理念」です。その価値観も毎日ぶつかっていたら大変ですから、ワークルールブックで共有しておく。その上でルールを守っていただけないときのため、就業規則があるとお伝えしています。

ー社労士として、企業と従業員の価値観のすり合わせを総合的にサポートできるのは面白いですね。
井上
福利厚生だけで若い人が採れる時代ではありません。会社として5年後10年後に何をやりたいのか、どうありたいのかを明確化していく必要があります。
あと、製造業ならではの話でいえば、ISOを取得するときには理念づくりから始めることも多いのですよ。
ー品質保証だけではないのですね。
井上
生産計画や品質方針も、経営理念がなければ方向性が定まりません。
しかし経営理念は、「いい感じに、適当に」ではすぐに形骸化してしまいます。外部の専門家につくらせたという社長に「しっくりきてますか?」とお聞きすると、「いや・・・」というお返事になることもありますが、社長ご自身がしっくりきていない経営理念を従業員に語ることはできませんよね。
ー経営理念づくりは相当にクリエイティブなお仕事ですね。しかし、お客さまにご理解いただくまでのプロセスが気になります。
井上
そのときに役立つのがワークルールブックです。若手の採用に成功している企業さまではこのようなものをつくっていますよ、とお見せし、あわせて価値観研修などもご提案します。
その提案プロセスの中で、社長がどのように歴史を積み、何を大切にしているかなどのエピソードを聞き出すこともでき、経営理念をつくるための情報が集まってきます。この地域には事業継承した社長も多く、創業社長の理念を時代に合わせて刷新したいというニーズも思ったよりあるものです。
労務管理のプロとして地域の産業を支えていきたい
ーさまざまな角度からお話をお聞かせいただき、ありがとうございました。これからは、どのような視点でのサービス提供を目指されていますか?
井上
今後、製造業の現場には外国人労働者が増えていくでしょう。多様な価値観のワーカーさんがいる中で、安全に健康に働ける環境づくりの支援を行いたいです。
もうひとつ。2027年の社会保険の改正でパートタイマーの方の戦力化が期待できます。配偶者の転勤で新潟にやってきた女性には、もともと正社員で働いていた優秀な方も多くいらっしゃいますが、そのような方にどう活躍してもらえるかは、しっかり考える必要があるでしょう。
もちろん全員が正社員を希望しているわけではありませんが、チャンスの選択肢が広がることはいいことだと思います。製造業であっても、女性が活躍できるポジションは多くありますから。
ー井上先生のビジョンを支えるサービスとしてHRbase PROを選んでいただけたこと、嬉しく思います。飴谷さんを始め、スタッフの皆さまにも存分に活用いただけると幸いです。
飴谷
私たちも、当初からの目的でもある情報蓄積を進めていきたいと思っています。それができるサービスは今現在はHRbase PROしかありませんので、機能開発を期待しております。
井上
この地域を知り尽くした社会保険労務士だからこそ、私たちにできることはまだまだあります。お客さまにより信頼していただくためにも、HRbase PROで労務相談の回答レベルを担保していきたいですね。
