
お話いただいたのは
事務所名 | 社会保険労務士法人みらいパートナーズ |
所在地 | 熊本県熊本市 |
代表社員・代表取締役 社会保険労務士 | 三浦 修さま |
執行役員 労務管理部部長 社会保険労務士 | 上村 尚史さま |
労務管理部 課長補佐 | 東矢 知也さま |
HRbase PRO導入時期 | 2023年6月 |
電子申請チームを分業制にして、組織化を徹底
ー事務所の強みについて教えてください。
三浦
熊本、福岡、東京の3拠点に事務所を置いています。メインの拠点は熊本ですが、私自身は東京にいることが多いです。
顧問先数は約350社で、医療介護領域の労務相談に強いことと、クラウドに強いことの2つが特長ですが、もうひとつ、手続きを組織化しているという大きな強みがあります。
ー組織化について詳しく教えていただけますか?
三浦
みらいパートナーズには電子申請チームがあり、オペレーションを完全分業化しています。7人ほどのスタッフがおり、電子申請と手続きをすべて任せられる体制をつくっています。
顧問先には担当者とコンシェルジュがつき、電子申請チームと協力しあいながら顧問先対応を行っています。

上村
私たち管理職クラスは、50社程度の顧問先を担当しています。労務相談の中で出てきた課題や、ご相談を受けた手続きを指示書に落とし込み電子申請チームにパスを出すという仕組みが仕上がっており、工程が明確でシステマチックにできるからこそ、50社の顧問先に対しても綿密なフォローができると感じています。
ーなぜ組織化を徹底されようと思われたのですか?
三浦
電子申請チームが定着するまでは、労務相談から手続き、助成金まで、すべてのフローを担当者が担っていました。そうすると全員にストレスがかかり、退職が続くようになってしまいました。何とかしなくては、となったとき、一番きれいに切り分けられそうな業務が電子申請だった、という流れです。
東矢
私が入社したときはまだ試行錯誤の時期でした。すぐにうまくいったわけではありませんが、皆でブラッシュアップしながら運用方法を固め、今に至ります。

三浦
組織化に注力し始めて、エクセルで管理していた手続きをセールスフォースに乗せ替えるという試みもしました。現在はkintoneを活用して管理を行っています。
社労士事務所としては、このようなシステムの導入は早いほうだったと思いますが、早かった分、成功事例のない中での試行錯誤の連続です。
しかしお客様に信頼していただける体制をつくることと、社員に大きな負荷がかからない環境をととのえることが一番大切だと考えての取り組みでした。
ただしこの仕組みには、ある程度の社員数が必要です。今の体制になって、やっと形になったと感じています。
HRbase PROの導入の理由
ー2023年にHRbase PROを導入いただいておりますが、その理由を教えてください。
三浦
お付き合いがあった、というのも理由のひとつですが、私は新しいツールは、下調べのつもりで「まずは契約してみる」というスタンスを取っています。
入れ替えも発生しがちなため現場は大変かと思いますが、何ごとも実務に使ってみないと判断できませんよね。
東矢
三浦がそのようなスタンスのため、現場でも意見が言いやすいですし、新しいツールを導入しやすい環境なのは確かです。
三浦
あと、HRbase PROに期待していたことは、育成と事務所のレベルの均一化でしょうか。
上村
スタッフにはそれぞれ、給与計算が早い、顧問先とのコミュニケーションがうまいなど、得意分野があります。しかし全員が事務所の戦力として、標準レベルで活躍していただくためには、スキルアップのための教育と一定のレベルを維持するための仕組みが必要ですが、なかなか難しいと感じていました。
HRbase PROは、その品質維持に一役買ってもらっていると感じています。
ーレベルの均一化について具体例はありますか?
上村
管理職や中心社員は熊本に集まっているため、東京オフィスのスタッフがオンラインでなかなか質問しにくいという現象は避けられません。
しかしHRbase PRO導入後は、「こんなこと聞いていいのかな」という些細なこともAIに遠慮なく質問できるようになり、新人スタッフであっても自己解決がしやすくなったのではないかと感じています。
弊所のように複数拠点ある事務所では、どこにいても同じ教育が受けられるというのは不可欠な環境ですから。
Chatwork連携でAI活用のラストワンマイルを埋める
上村
もうひとつ、HRbase PROとChatworkが連携できるようになったことで、よい影響が生まれ始めています。
東京に新人スタッフがいるのですが、HRbase PROのAIをChatworkグループに追加して「何でも聞いていいよ」という仕掛けにしておくことで、質問しやすい環境がととのいました。一番よいのは、スタッフがAIに何を聞いているのかが、私にも見えることです。スタッフの「これがわからない」が可視化され、その後のAIとのやり取りまで確認できるというのは、遠隔でのマネジメントにとても便利です。
ーチームコミュニケーションにAIが介在しているようで、素敵ですね!
上村
HRbase PROをはじめ、さまざまなAIが出てきていますが、実務に本当の意味で定着させるのはなかなか困難なことです。HRbase PROとChatworkの連携は、そのラストワンマイルを埋めてくれた感じですね。
東矢
私もChatwork連携は活用しています。
直近では顧問先から熱中症対策の質問がありました。熱中症は対策が義務化されましたし、空調服の貸与など対応は多岐にわたります。誓約書のひな形をつくるための質問をAIにしたところ、思ったよりも細かい回答が出て、実務に役立ちました。
さすが労務管理に特化しているAIだなと感心しましたね。
三浦
ChatGPTなどは、やはりネットが情報源になります。しかし私たちにとってはエビデンスがあることが重要です。HRbase PROは、プロがチェックしたデータが元になっていますし、根拠資料の場所まで明示されますから、他のAIツールよりも信憑性が高いことは明確かと思います。

事務所の時短は複合要素。HRbase PROもその一端に。
ー育成以外で、導入効果について教えてください。
上村
資料の均一化が進みました。これまでは、各人が思い思いの資料を作成しており、それが共有フォルダの中に溜まっていっていました(笑)しかし皆がHRbase PROの資料で、同じレベルの、同じ表記の資料の活用が進んでいます。
特に、育児休業の説明資料は非常に役に立っています。あの資料を自分で作成しようと思うと1日仕事ですから。
東矢
労務マガジンも、旬の話題を非常に細かくまとめていただいており、顧問先にも渡しやすいですね。たとえば「130万・106万の壁」についてのネタを自分でまとめようと思ったら、情報を集めるだけでもかなりの時間が必要になるでしょう。それをパッと印刷して、顧問先にタイムリーなネタを持って話に行けるというのはありがたいです。
ー資料作成が時短できている、ということですね。
上村
確実に時短にはなっていますね。
資料作成の前段階の情報インプットもかなり効率的になりました。HRbase PRO主催の社労士向けセミナーも、専門家による具体的な事例が知れるためよく活用させてもらっています。
ー労務トラブル対策や、法務に関するセミナーですね。
上村
そのようなご相談案件が来たときは、まずは弁護士監修の記事や情報を探し、リーガル面を確認しながら進めることが多いです。
「HR」という言葉をどこまで広く捉えるかになりますが、労務管理のコンサルティングを行う過程では、法務や税務などの周辺知識も必要になっていきます。HRbase PROにも、今以上にそのようなコンテンツが増えることを期待しています。
三浦
時短に関してお話しすると、弊所は多くのシステムを入れており、「このシステムを入れたから、何時間減った」ということが明確に見えるわけではないと思っています。各システムの機能と、メンバーのスキルなどが組み合わさることで、複合的に事務所全体が効率化していっており、HRbase PROもそのひとつとして機能しているイメージですね。

経営者目線で見る、HRbase PROと社労士業界
ー三浦代表は社労士でありながらも「経営者」という立場で業界をみていらっしゃいますが、HRbase PROと社労士業界の連携はどのようにお感じですか?
三浦
私は会計事務所の出身で、小規模事務所から今の規模まで、さまざまなパターンの士業事務所を経験してきました。会計や税務の事務所にはある程度組織化のパターンがあり、モデルケースを想定して動いてきましたが、社労士事務所には「こうすればうまくいく」というモデルケースが少ないんですよね。
しかしHRbase PROの登場で、AI活用と業務の組み立て方、人材活用などの「見本」ができつつある。AIリテラシーだけではなく、社労士業界全体のレベルが上がっているのは明らかだと思っています。
三浦
HRbaseは、企業向けにも提供を開始されましたね。私たち社労士が満足しているのだから、企業さんにとっても役に立つのは間違いありませんし、HRbaseのビジョンとして困っている企業を助けたいと思っているのであれば、我々社労士に遠慮せずにどんどん発展させていただけたらと思いますよ。
それが回り回って、日本の労働環境をよくしますし、社労士のレベルアップにもつながります。
ーHRbaseのビジョンは「最適な労務管理で、すべての人に安心を」です。すべての人にリーチするため、迷わず開発を進めていきたいです。
三浦
あとは、HRbase PROの開発スピードや対応などを見ていると、頑張られていることが伝わってきます。だから使い続けていますし、今後もその姿勢を見せていただけるとこちらも安心ですね。
スタッフが安心できる経営を
ー最後に、事務所の今後のビジョンをお聞かせください。
三浦
3拠点経営を行っているため、「もっと拠点を増やすのですか」と聞かれることも多いのですが、そのような拡大志向はありません。
顧客満足のために必要な経費から逆算して、だいたいの売り上げ目標を決めてはいますが、ここ熊本でしっかりと業務を行っていくことを重視しています。私は実務よりも経営に向いていますし、現場に頑張ってもらえるような環境整備と還元の仕組みに集中する方がスタッフも安心するはずです。
HRbase PROには、引き続きその体制づくりの支えになっていただけることを願っています。